プロローグ
「殺人マシーン」
いくら人を救った カタチ だとしても
「イカレてる」
そんな言葉を浴びて
笑おうじゃないか
act 1 :
「悪魔降臨」
ざんっっ
振り上げたられたと思った瞬間に降りてきた刃は、その前に立ち塞がる人型のものを真っ二つに切り裂いた。
それは、人のものとは考え難い業である。
次から次へと出てきては斬る、出てきては斬るを続けたから、昼真に似つかわしくないものが大量にそこらへ転がった。
その光景を背に刃を鞘に納めた若者は、その場から立ち去ろうとした。
しかしその瞬間、物陰に潜んでいたものが一斉に踊り出し、背を向けた若者に襲い掛かる。
「そのまま隠れてりゃ、見逃してやったのに……」
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一方こちらでは、同じ麗らかな空の下で、ほのぼのとした(?)恒例行事がジープ内で繰り広げられていた。
「な〜三蔵ハラ減ったーーー!」
「煩い」
「ハラ減った ハラ減った ハラ減ったーーー!!」
「あ"ーー、 もう、うっせー!キーキーわめくな猿っっ!!」
「猿言うなこのエロガッパー!」
「おめぇーなんざ、ただの欲求不満の大馬鹿猿じゃねぇーか!」
「おめーら、さっきから煩いと言ってるだろーが!!」
ガウン ガウン ガウン !!
青筋を立てた金髪の男が、自前の銃を連射すると、やっと大人しくなる猿とエロガッパ。
そう、これもいつもの光景である。
「ジープにあてないで下さいよ、三蔵。」
一見穏やかそうな青年は呆れてそう呟く。彼は八戒。 猪 八戒だ。
そして、先ほど銃をガウンガウンいわせていた金髪の彼は、結構偉い坊主で有名な、玄奘三蔵法師である。
ジープの後部座席で暴れていたうちの片割れで、欲求不満猿と言われていた少年は、孫
悟空と言い、もうひとりのエロ
ガッパと呼ばれた男は、沙 悟浄である。
何故、寄りにも寄って、この男たちが挙ってジープに乗っているかと言うと、牛魔王蘇生実験の調査と阻止を目的に、
西へと旅をしてる最中であるためだ。
…なのだが、そんな雰囲気を一切醸し出していないところが、彼らの良いところなのである!……多分。
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岩山を抜け、森林道に差し掛かった彼らの中で、いの一番にその異変に気が付いたのは悟空だった。
「なんかすっげー血の臭いがしてこねぇか…?」
「血、ですか?」
「うん。だんだん近付いてる」
その言葉に促された三蔵が地図を広げ、この近辺を確認する。
そうすると、三蔵の斜め後ろに座っていた悟浄が、地図を覗く様に、三蔵に近付く。
「どうだ、三蔵。なンかありそーか?」
「いや。俺たちが向かってる街までは、何も無いようだな」
「では、民家が襲われた可能性は低いようですね。何にせよ、ごたごたに巻き込まれないといいですが…」
ジープは進むに連れて、一行は悟空が感じたという異変をどんどんと感じていった。
強くなる異臭と共に押し寄せる、不安でもない、期待でもない妙な感覚が彼らを襲う。
その正体が明らかになったのは、彼らが森林地の中腹に差し掛かった頃合いだった。
「なっ…なんだよこれ!」
「あーあーぁ。穏やかじゃねぇなぁ」
彼らをそこで待ち受けていたものは、普通じゃ考えられない数の妖怪の死体であった。
木々に囲まれたこの道幅は、決して狭くはない筈なのに、それらはびっしりと路地を埋め尽くしている。
満面血の海と化した山林の道中は、まるで延々と続く地獄絵図の様だった。
流石にこのままジープで進むことは出来なかったため、地に降り立った一行は、その足で屍の間を掻い潜る。
「うっはー……まぁ見事にやられちゃって」
「ったく、どこのどいつだ、面倒くせぇことしやがって」
「これ程の数の妖怪を倒すだなんて。妖怪同士の仲違いと考えるのが、妥当なところなんですがね……」
「仲違い…ねぇ」
「まだそうと決まった訳ではないですが……。三蔵、他の遺体も見てみましょう」
そうして幾つかの妖怪を確認していった四人であったが、その屍を見れば見る程、厭な予感はどんどん増していった。
先程からそれなりに時間を要して前に進んでいる筈なのだが、妖怪の体数はなかなか減らない。
それだけでなく、それらの体内にあった内臓が今でも微かに動いていたり、妖怪が全て一打で葬られていること等も、彼らの
不安を増幅させる材料となっていたわけだ。
ついこの間まで溜息を吐いた悟浄も、呆れた顔を焦りの色に変え、言葉を発した。
「なぁ八戒。お前はこれを見て、どう思うよ?」
「そうですね……。僕が見た限り…ですが、これは単独の犯行で間違いないようですね。しかも、これだけの妖怪の急所を、
たった一太刀で突きで倒しています。只者で無い事は確かです」
「…まぁ嫌な予感はしてたが」
「すっげーな!!これ、一人でやったのか!?俺、そいつと戦ってみてー!!!」
目を爛々と輝かせた悟空を見て、三人は一斉に溜息を漏らした。
「悟空ならそう言うと思いましたよ。でも……今回は本当に、危険かもしれません」
実体の知れないものが、今確実にこの森林地内に居る。
そう確信しながらも、先に進まない訳にはいかない一行は、この屍を逸早く抜ける為にと先を急いだ。
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続く続く 屍骸の山
急ぐ急ぐ 緋色の海を
暫く行くと、やっと途絶えた屍骸を尻目に、八戒が地図を見ながら口を開いた。
「皆さんへ、非常ーに残念なお知らせがあります。なんと今夜は、この先での野宿が決定しましたぁ〜^^」
「えーこいつらん中で野宿ーー!??俺ヤダよぉ〜……」
「ちょっと待てよ!なんで俺が好き好んで死体の隣で……っ!せめて、酒と女体がねぇとやってらんないぜ…ったく」
「せめての度合いが大きすぎるんですよ、悟浄は。そもそも、たかがこの距離で地団駄踏んだのは、元はと言えば悟空と悟浄のせい
じゃないですか。誰でしたっけ?仏様の顔を見て、“こいつの顔ドラ○もんに似てる〜”とか言っていたのは」
「てめーら、一回死ぬか?」
不機嫌度合いが頂点の三蔵と、背に黒い何かを張り巡らせている八戒が重い笑みを浮かべたのを見て、二人は途端に大人しくなり、
あっさりと野宿了承の意を示した。
今夜はせめて、この悪臭が届かない所で休息を取る事となる。
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無事に妖怪の死屍道を抜け、四人は寝床を確保するに至った。
其処の近くには川がある様で、薄っすらと水のせせらぐ音が彼らの耳に届いている。
水場から遠すぎずのこの場所は、丁度良い気温であった。
前回訪れた街で蓄えた食糧で、簡単な食事を済ませた一行は、傍に火を焚いて、各々の時間を思い思いに過ごしていた。
ある時は他愛のない会話をし、ある時は荷物を漁ってみたりと、大抵一人が何かをすると、つられて同じ行動をとってしまう。
それ程、退屈なものなのだ。
そんな中、「さてと」と言い一人立ち上がった八戒は、皆を一瞥した。
「僕はちょっと、水を汲んできますね。必要でしたら、皆の分も行って来ますよ。」
「あぁ、それだったら俺も行くぜ、八戒」
八戒に続いて悟浄も立ち上がると、二人は三蔵、悟空の水筒を受け取り、水場へ向かった。
暫く歩くと、川のせせらぐ音と共に、その形状が見えてきた。
その時、ふと立ち止まった八戒が悟浄を制し、目そきょろと川の麓に向けた。
八戒が丁度、目を向けた先、その辺りに人の気配を感じる。
その様子からして、人一人。
一度は警戒した二人だったが、その気配自体は全くこちらを警戒する素振りはなかったため、そのまま歩みを進めた。
そうして、いよいよ二人の目にその姿が映ろうとした瞬間だった。
ざんっ
という重い音と共に、 悟浄の顔横にある何本かの髪の毛がはらはらと舞ったのだ。
「「っっっっっ!!!!!!」」
八戒と悟浄の前に突きつけられたものは、何か鋭い物の切っ先だった。
その奥には、小さな黒い影が闇に潜んでいる。
月の逆光により、こちらから詳しく確認する事はできない。
けれどその奥には、酸素を含まないような、黒く赤い血色をしたものが縷々と光っており、それが真っ直ぐと自分たちを見据え
ていた。
その時二人は、今目の前にいる何かが「気配を消せなかった」訳ではなく、「気配を消さなかった」という事を知った。
その意図とは、おそらく自分たちを油断させる為だろう。
回答を誤れば、この白刃で容赦なく首を飛ばされる。そう感じた。
「妖怪……だよな」
生々しい殺気とは裏腹に、刃を突き立てるもの自身の発言は、まるで素っ頓狂なものだった。
この状況は何故だろうかとか、そういう疑問はこちらから投げ掛けたいところであるのに、まるで相手の方が状況説明を迫ってい
るような口ぶりだ。
こんな事をされているというのに、嫌な気があまりしていないというのが二人の本心であった。
だから、こちらの返答もかえって気が抜けたものとなる。
「おま……俺みたいな良い男に向かって、いきなりそれはないんじゃねーの?」
「悟浄、この状況であなたという人は………」
「だって、こいつ突然失礼だろ!いきなり斬りかかってきてきたと思ったら、自分が何なのかも言わずに、俺らに妖怪かって?礼儀
を弁えろ、礼儀を!!」
「そうですねぇ……。えーっと……あなたは何故こんな事を?僕らは危害を加えたりはしないので、まず、その剣を下ろして頂けま
せんか?」
「お前ら……自我を保っているのか?」
「えぇ、ご覧の通り」
「……そうか。悪かった。」
そうとだけ言うと、その黒い影は何もなかったかの様に剣を下げた。
そう行動に移したはいいが、やはり暫くはこちらのが気になっていたのか、赤い目だけをぎょろぎょろとさせながら二人を見ている。
暫くと言ってもそれはほんの数秒くらいで、その時間がやや長く感じたのは、八戒と悟浄が少しの間呆然としていたからだ。
完全に警戒を解いた黒い影が二人に背を向けると、もう本当に、誰が見てもだるっそうに川の方にぐだぐだと歩いていく。
そちらは川の方面、月明かりに照らされている場所に、その“もの”は初めて姿を現した。
深深と被られた、自分の頭より一回り程大きな帽子、顎の下から目の下までを覆う大きな口当て、着衣に関しては、今や両腕両足
共に捲くられているものの、どちらも長袖のようだった。
ただ特殊なのは、帽子や口当てだけに限るものではなく、その“影だった人物”の全身が「白で統一されている」ということだ。
真っ白と言えば嘘になるが、人が身に付けていておかしくないくらいの真っ白と言うのだろうか。
闇と月明かりに着色され、なんとも言い難い、美しい色であったのは間違いない。
二人の目を引いたのは、それだけではなかった。
服から延びる腕足は鍛えられ、とてもしなやかな曲線を描き出しており、また、時折帽子の隅から見えるその髪の毛の一本一本は、
磨いた銅の様な茶色を呈している。
その中でも特に目立っていたのは、先程暗闇で黒く輝いていた、その者の眼だった。
迷いの無い眼球は、月明かりに照らされ脈動を始めたかの如く、生きた人間の鮮明な生血色に染まっていった。
それはもう、他に例え様のないくらいの赤い色だ。
生々しい瞳をもつその者は、それとは裏腹にとても澄んだものにも見え、異様な生き物の様だった。
暫くそうして魅入られていた悟浄と八戒は、ふと我に返り、持っていた給水筒を持ち直した。
自分たちの目的を達成する為、その者が居る川へと差し掛かかる。
先程まであれだけこちらを警戒していたと言うのに、この者と言ったらだらしのないものである。
まるで足湯に浸かるかの様に、出している足をだらんと水に突っ込み、大層だるそうに、上半身を川岸にべらんと横たえている。
それを横目で見ていた八戒は、ついその口に笑いを含んだ。
「うふふ……なんだか、拍子抜けしちゃいますね」
「オレか?」
それはただ八戒が何となく口に出した言葉であったのに、その返答は思わぬところから、思わぬ早さで返ってきた。
本人に聴こえてしまうくらいではあったが、こうもはっきりと聞き返されると、逆に気持ちの良いくらいの反応だ。
「……気分悪ぃなぁ」
向こう側からそう呟いた人物は、もう関わりたくないといった風に向こうを向いた。
そんな反応に、八戒と悟浄は堪らなくなり、顔を見合わせて笑い合う。
この場合、どっちが最初に気分を害する様な事をしたんだという話になってくるが、この者の前では、もうそんな事どうでもよくなっ
ていた。
だからなんとなく、二人はこの人物に興味を持ったのかもしれない。
「あははは……いやぁ、笑っちゃってすみません。ところで、貴方は何故ここに?」
「………」
「この辺りは民家の様なものが見当たらないものでしたから。もしかして、隠れ集落でもあるんですか?」
八戒の言った事に対して、一瞬怪訝そうな目を向けたその者は、一拍子置いてからその問いに答える。
「この辺りに、人の住める場所なんてない。そもそも、オレの事は、お前たちには関係ないだろ?」
その言葉にすかさず反応したのは、悟浄だった。
目を細め、眉を顰めた悟浄がその者の近づき、顔を覗きこむように腰を下ろす。
そして、呆れた口調で話し出した。
「可愛げねぇ奴だなぁ。俺たちの知ってる奴によく似てるぜ、ったく。お前、友達いねぇだろ?」
「……」
「さてはお前、図星だな。おい、ちょっと自己紹介してみろよ。」
「…………」
「まぁ、とりあえずはあれだな。俺は悟浄だ。さ、お前の名は?」
「オレはお前と馴れ合う気は無い。」
「いーから。言ってみろって」
「……………」
「ほらっ」
「あー、もう、煩ぇなぁ!オレはだよ、!!どうでもいいから、それ以上オレに近付いてくるんじゃね……」
と名乗ったその者ににじり寄っていた悟浄は、ふと動きを止め、何故かにっこりと笑ってみせた。
そして徐に片手を挙げ、何かを促す様に、その者に差し出す。
「なっ……」
「ほらよっ。やってみろ。結構いい気分になるぜ」
「何、言ってんだお前…」
「ハイタッチだよ、ハイタッチ!見れば分かるだろ」
その言葉を聞いたという人物は、戸惑いと驚愕が入り混じった様な表情をした。
それはまるで、出逢った頃の悟空の様だった。
本当はたくさんの事に興味があるのに、上手く自分を表現できない、不器用なところがよく似ている。
この人物になんとなく惹かれてしまう理由は、そのせいかもしれないと、ふと悟浄は思った。
「あーあ、悟浄。ふられてしまいましたね」
ふいとそっぽを向いてしまったを見て、給水を終えた八戒が、二人へ近付いてきた。
悟浄がを気に入った事が分かったから、八戒はどこか楽しそうにしている。
「はじめまして、。僕は八戒と言います。これも何かの縁ですし、名前くらい知ってたって、減るものではないでしょう?」
「なんだ、八戒。減るどころか、こいつの人生の足しにしてやったんだぜ、俺は」
「………」
「ところでサンよ、お前、妖怪に恨みでもあるのか?」
微動だにしていなかったは、その言葉を聞いてぴくりと反応した。
顔を少しだけこちらに傾け、悟浄たちの方へ気配を向ける。
「あれは……本当に悪かったと思ってる。」
その言葉を聞いて、八戒はふと、厭な予感を感じていた。
厭な予感と言えば先程からずっと感じていたのだが、今それは、核心を得た様に八戒を突き動かした。
「さん、貴方はこの近くで妖怪の惨殺があったことをご存知ですか?」
八戒が聞きたいこととは、本日の昼間の事だ。
道中を埋めていたあの妖怪の死体たちを、こんなにも近くに居る人間が知らない筈は無い。
「惨殺……ねぇ。知ってるよ」
「あれは、さん。貴方がやったものですよね」
「ちょ……待て八戒。あれがこんなガキの仕業な訳…」
「そうだよ。あれはオレがやったんだ。やっぱりお前らも、見ていたんだな」
「ええ」
驚愕する悟浄を尻目に、は軽くそう言い放った。
自分たちに剣を向けた時のあの素早さ、威嚇する為の精確な距離感、殺気、気配の操り方、どれを取っても、この周辺で
あの光景が作れるのはくらいしか考えられなかった。
ただ一点だけ気になる事を挙げれば、この者の衣服に“一切の返り血も着いていない”という事だ。
この技量を持ってしても、そんな業は遣り遂げにくい。
そんなこと、普通は可能であるのだろうか。
しかし、その本人はこうして肯定しているし、やはり他の者の仕業とも考え難いのだ。
「貴方は、一人であれを?」
「……あぁ。」
「う、嘘だろ……?他にもお前…連れとか居ないのかよ?」
「見ての通り、オレは一人だ」
「では……貴方は返り血も浴びず、妖怪と戦ったと言うんですか……?」
「オレは服が血で汚れるのが嫌いなんだ。お陰で今日は疲れてるんだ。だから、もしお前ら二人を相手にしていたら、やられて
いたかもしれないけどな」
キシシと嗤ってこちらを見たは、悪戯にそう言った。
おそらくこの人物は、悟浄や八戒の力量を、一目で判断していたのだろう。
「まぁ、そんな事より。お前らこそ、こんなところで何してんだ?」
「あぁ、まだ言ってませんでしたね。僕らはちょっとした用事で、西に向かって旅をしているんです。今はその途中なんです
けどね。実は、向こうにあと二人仲間がいるんです。ここにはたまたま、旅の途中で立ち寄ったんですよ」
「俺たちゃ、今日はここで野宿ってオチなわけ」
「野宿って……そんなのだめだ。」
「はぁ?何言ってんだよ。俺らはここで一夜を明かすって決めてんの」
「だから、オレはそれがだめだって言ってんだよ。一晩歩いてでも、この森から出ろ」
「なんだとてめぇ……何様のつもり…」
「まぁまぁ、悟浄。さん、何故僕たちがここに居ちゃいけないのか、訳を聞かせてもらえませんか?」
一歩も引こうとしないを見て、八戒が訊ねた。するとは、素っ気無くあちらを向いて答える。
「お前らも見たように、ここには大量の妖怪が集まる。ここは危険なんだ。だから……」
「そんな事、さんが気にする事はありませんよ。僕たちだって、解っててここに居るんですから」
「そうだぜ。俺たちを見縊ってもらっちゃ困るな。まぁ何だ。お前がここの何を知ってるかは俺らは知らねぇけどよ、なンか
あったらあったで、やるっきゃないんじゃねーの?」
二人のその言葉を聞いたは、困った様に頭を掻いた。
そこまでして、この人物が何を気にしているのかは解らないが、自分たちはそこらの妖怪にやられる程、軟じゃない。
そんな時、閃いたと言った様に手を叩いた八戒が、ににっこりと笑いかけた。
「そうだ!ねぇさん。もし僕たちの事を気に掛けてくれるのなら、今日これから僕らのところに来ませんか?」
「………」
「っちょ、八戒!何を突然……。もしこいつを連れて行ったとして、三蔵に何を言われるか解ったもんじゃねーだろ!」
「そうです、その三蔵です。もう今頃、僕たちの帰りが遅くて苛々しだしている頃だと思いませんか?」
「そうだ、だからな……」
「だから、さんに協力してもらうんですよ。今日の昼間に見た妖怪の説明にもなりますし、三蔵だって、原因が解ってほっとする
でしょう?それに、僕らが遅くなった理由も解ってもらえますし」
八戒はそこまで言うと、の方を向いて少し気に掛ける素振りをした。
「まぁ、それもこれもさんが嫌じゃなければの、話ですが。もしかしたら、僕らじゃなくてさんが三蔵に睨まれてしまう可能性
がありますからね……」
八戒のその提案を聞き、その者は自分の傍らに投げ出されていた剣を手に取り、ぼちゃぼちゃと水音を鳴らしながら川から這い
上がってきた。
「明日の朝一番に出るんだよな?」
「僕らと一緒に来てくれるんですか?」
「……あぁ、行く。」
「おい、どうした?」
「いや……今日はこれ以上、妖怪は出ない思うけど、残党が潜んでる可能性があるんだ。」
心配性なを見て、つい笑みが漏れてしまう。
「ま、俺らもいつ何時妖怪に襲われるか知れねぇ身だからよ」
「え?」
悟浄が言った事に横やりを入れる様に八戒が言う。
「さあさ、そうと決まったら早く戻りましょう。さん、着いて来て下さい」
「あ……あぁ…」
の背を押した二人は、三蔵と悟空の元へと向かった。
この出会いこそが、彼らの運命。
今後、この廻り合わせが、一行に大きく作用していくということを、彼らはまだ知らない。
既にその歯車は、悟空が悪臭を感じ取った時から廻り始めていたのだから。
「ところでよぉ……」
「……え?」
「お前って……男か女、どっちなわけよ?」
「な……なんだよ、いきなり!?」
「ちょっと悟浄、突然失礼ですよ」
「何だよ八戒。お前だって、こいつがどっちなのかどうせ判ってねぇーんだろ?俺が確認してやるっ……」
「ちょ……ちょっとやめろ、お前またっ……、オレに近寄るんじゃねぇ!!」
「こらこら、悟浄。が怯えてるじゃないですか」
「どっちなんだ、こら……ひっぺがしてやる!」
「お……お前は男を襲う気があるのか!?そういう奴なのか!?」
「おやおや。お二人とも、早速仲が良いですねぇ……」
「「ふざけんな!仲良くなんてねぇーよ!!」」
「ふふ……しっかりハモりましたね」
「ってかお前男かよ……紛らわしい格好しやがって!あーあつまんねぇの。つっても、おめぇみたいな女は、俺でも願い下げだ
けどな!」
「な……なんだ、てめぇ!!万死に値するぞ!」
「あっははははは。万死に値するだなんて、どこかの戦国武将みたいな言葉ですねぇ。は、そういったものに興味があるんで
すか?」
「いや………ただいっぺん、言ってみたかっただけだ」
「「…………」」
今だ謎が残る人物。
この者がこの先、彼らにどういう定めを下すのかは、まだまだこれからの話なのである。
管理人 : プロローグ終わりました。長くてすみませんTT
悟空 : ていうか、俺全然出てきてねーじゃん!!!!
管理人 : しょうがないよ。君がいても話しこじれるだけだし!!ドーン・笑
三蔵 : ほう。俺がいても話はこじれるのか。
管理人 : 坊主キター(((゜д゜;
三蔵 : 今なんか言ったか?
管理人 : うおおおおーー!!銃なんか出さないでくださいよ!!;;;;
悟浄 : にしてもなんだ、この文才の無さは!??
八戒 : 人にこんなモノ読ませるなんてありえませんねぇ。これをドリームって言うんですか?(狂怒)
管理人 : 文才ってナニ??オイシイノ??(゜∀゜)/ はい。すみません(土下座)TT
これの続きはこちらですっ(>_<)””=次