006、サヨウナラ
†練金術師と練禁術師†
「ネクロマンサー!?」
「ハイ。この近くに素晴らしい術をもった方がいると聴いて来まシタ」
「つってもなー・・・・・。あそこは弟子も客もとらねぇーって有名・・・・・」
「お願いしマス」
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青白い顔をした男は、その膝に小さな男の子を抱え、キーコキーコと自前の車椅子を押していた。ネクロマンスに
留まらず、“完璧に人を生き返らせる”という、アメリカでも名高い人物の家路を急ぐ。その道がやたらと自分に似合っ
ていて、ファウストはどこか懐かしさを覚えていた。
しかし、その屋敷の門前に来た時、ファウストは妙な違和感を感じていた。
「ファウストさん?」
「何でもないデスヨ。じゃあ、呼び鈴を押してくれますか?」
まん太を抱え上げボタンに近づける。
ゴーンゴーン リーンゴーン
大きな時計が12時を指した時のように響き渡る。それだけでも、その家がどれだけ壮大なものかというのを物語っ
ていた。門からあまり離れていないドアが小さく開くと、顔を出したのは、意外にも女性だった。
「Can I help you ?」
「I have come on business today.」
「・・・・・そちら、日本の方ですか?」
完全にドアから姿を現した彼女は、まん太を見ると門越しにそう訊ねた。
女の髪は黒く、よく見るとアメリカ人ではない顔立ちであった。再び無表情で口を開き、事務的な話しをはじめる。
「仕事の話しは、いつも私が伺っております。その前に、完全なる死者蘇生1体に掛かる金額は前払いで100万ドル
となりますが」
「100万ドル!?」
「はい。お支払い能力があるお客様のみ、通すよういわれております。」
「そんなお金・・・・・ねぇファウストさん」
「お支払い出来ないのでしたら、お話はお伺いできません。お帰り下さい。」
「ちょっと待って下サイ!」
退散しようとした女を、車椅子から身を乗り出して止めるファウスト。
飾り物に見えた足は動くらしく、ギシギシと鳴った骨と共に、門に手を付き彼は立ち上がった。
「主人に合わせて下サイ!どうしても生き返らせたい人がいるんデス!!」
「先程も申しました様に、お金が無いなら通すなと言われております。それでは」
「お願いデス!!」
バタンと閉められたドアの向こうには、すでにファウストの声は聞こえていなかった。
無情なまでの仕打ちに佇む彼の背を押し、椅子に戻したまん太は、今日は帰ろうと邸を後にした。
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2階の窓から2人の様子を見送った執事は、部屋にある大きな本棚から一つの書を取り出し、項目に目を通した。
何枚かのページを大胆に捲ると、太文字で書かれている名前に指を動かす。
−ヨハン・ファウスト−
錬金術、魔術を会得した稀代の天才。
中世ドイツではその能力を自らに打ち込むべく悪魔と契約を結ぶが、それ故に体は引き裂かれたと云われている。
かつて発明したという蘇生機械については、屋敷に封印された、または何処かの貴族闇オークションに賭けられた
などと伝えられているが、真相は明らかにされていない。
1892年には、Y世までの子孫が確認されている。
「・・・・・・・・・1892年、現在」
書物を机に重ねた女は、再度棚に手をやった。
ファウストさん連載?です。
私は彼の純粋な感じとか、喋り方とか好きです。
あと、目の下の隈とか・・・・・(笑)
妖しい人はとにかく好きですね、はい。
エリザさんを一直線に愛!なところもなんだか好き♪
っていうか、エリザさんがいるのにドリーム書いてていいのかい!ってところ
なんですけど、まぁいいでしょう(汗)
悲恋になるか愛!になるかはまだ判りません(爆)
ファウストさんとエリザさん、はたまたファウストさんまん太くんのコンビが好き
な私にとって、これは一種の爆走物語になりそうですが・・・・・・。
お付き合い下さると嬉しいですvvvv
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