027、不動 (向日葵〜side跡部)
その日の気分は別に悪い訳じゃなかった。
集合時間を過ぎてもなかなか来ねぇ忍足にも、強さを増す太陽にも。
特に苛々する事じゃねぇ。
でもよぉ、忍足のヤツが来た時、俺はどう思ったと思う?
この跡部様がだぞ?
ガラにも無く頭にキちまったんだよ。
ハデなもん引っさげた女連れて、ヘラヘラしらがってよ。
お前もそんな顔、他の男の前でしてんじゃねぇよ。
2人に近づくと忍足が微妙に笑いやがった。言いたい事が判る分、こいつはムカツク。
でもおめぇはそれが、俺にどんな行動に移させるものか解ってやっんのか?
休みに入ってはじめて見るその顔は以外だった。
毎日毎日ここに来て、うざい程俺に構ってくるコイツがだぞ?
中途半端に顔出すくらいだったら、後味悪ぃ程度に俺の前に顔出してんじゃねぇよ。
会って初日のは、隣にいる忍足のヤローと大分表情が違っていた。
こいつの事だから、ここまで歩いて来たんだろう。理由が解らねぇ分、やっぱり理解できねぇ。
わざわざ来たやつを追い返す言葉も見つからねぇ俺は、ご丁寧にもをコート内のベンチ
に座らせていた。
誰に何を言われても関係ない。
榊のいねぇここでは、俺がルールなんだよ。
どうせ俺に会いに来たくせに、赤く焼けた鼻の頭を擦りながらはさも"俺たち”を見に来た
と言ってみせた。
考えあって言った事じゃねぇと解っていたが、今更な事を気にしている程俺はバカじゃねぇ。
でもこいつは次に何て言ったと思う?
花を届けに来ただと?
しかも、この可憐な俺からは想像もつかねぇ、向日葵の花を。
女が皆こうだとは思わねぇが、突発なヤツはたまにいる。
だが、こんな事をするヤツははじめてだ。
渡すまでつけるだと。
やってみろよ?
その代わり、俺はお前がここに居る限りは見ててやるよ。
おめぇの想いの大きさってヤツをよ。
何時間という部の活動間、あいつは一切その場を動こうとはしなかった。
与えてやった場所で、主人の帰りを待ち続ける猫みてぇに。
内臓の底で抑えてる笑いが、たまらなく喉の奥まで込み上げてきやがる。
そこまで俺を想ってくれてんのかよ。
そんなに俺にそれを渡してぇのかよ。
おもしれぇじゃねぇか。
そんなくだらねぇ花を送りつけたい意味は知らねぇが、俺にとっては絶好の理由になる。
貰わなければお前はいつまでも俺に着いてくる事が判ったし、それに何より、向日葵なんて花は、
俺様よりもみたいな女によく似合う。
いつまでもそこに座って俺を見てろよ。
黄色い大きな花背負って、ずっと。
他に何も見えなくなってしまうくらいに。
夕方になった花は、の手の中で元気をなくしていた。
ここまで歩いてきた挙句、座りつづけて疲れてるあいつみてぇに。
そんな姿がますます俺を衝動へと駆り立てる。
お前がもっと気持ちを魅せるまで受け取らねぇ。お前がもっと俺を想うまで受け取らねぇ。
早くこっちに来いよ?
もっと近くに。
「帰るぞ、おら」
欲する栄養ならたまにくれてやる。
でもそれは、俺のモンが爆発するまで限定だって事を覚えておくんだな。
向日葵、跡部sideでした。
花を受け取らない理由。
っていうか、跡部くんかなりのサドっぷしを炸裂していましたけど・・・・・。
大丈夫ですかねぇ(笑)
跡部「てめぇ、勝手にヒトの心ん中書いてんじゃねぇよ」
@kaede「え、あ、すみません・・・・。でも景吾くん、気持ちを素直に伝える
ことは大切ですよ?」
跡部「うるせぇ。ちゃんとあいつは判ってんだよ。なぁ?」
@kaede「・・・・・・・・。まぁ、さんみたいな一途な方なら大丈夫でしょうけ
ど・・・・・・。愛って難しいですねぇ・・・(半笑)」
2003/4/13