−読む前に−
これは、リョーマ連載「BAD meeting」の裏舞台となっております。
そのままでも楽しめますが、「BAD meeting」を読んで頂ければ、より楽しめるかと思います。















022、自然会話





















がその道に入ったのは、本当にたまたまの事だった。

どんなにファンの人間が居ようともテニス部の放課後見学には行かず、と帰る事を率先する

は途中で別れ、久し振りに立ち寄ろうと思った本屋への近道を通ろうとした時だった。

この時間帯には聞こえない筈の、パコーンパコーンという、ボールの音。

その響きに少し覗いた先には、いつも聞かされていた人間の象りがあった。



「あれ、会長じゃないスか・・・・・」



口にしてはいけない名をつい発してしまい、は血の気が引くのを感じた。

よく音が響く街路樹では、はっきり言って命取りに近いその名前・・・・・。



「越前か?」

「あ・・・・・そう・・・です・・・。あっはは・・・・・・・・」



緑色の格子をカタンと靡かせ、片手で汗を拭いながら近付いてくるメガネの人物。

ただ幸いというのは、この場にと手塚親衛隊が居ない事だろうか・・・・?

なんとなく流れでコートに入ったは、ラケットを持っていた方とは反対の腕に視線を向けた。

巻かれた包帯。

それを見て思い出したのは、から聞いたちょっとした塚情報だった。



「あれ、会長。腕ケガしてるのにテニスやってていいんス?」



キャーキャー騒いでいたが、今までと違い真剣な顔付きで言った「手塚の腕のケガ」。

悪い人間ではない事を知っているは、話す事も無いとは思っていたが、痛々しいその形に心配をよ

せた。



「俺がケガをしたのは左腕だからな。今は右でやっていたから、別に支障はないだろう」

「右で?右・・・・・?ぅえ、両利きなんスか?」

「あぁ」

「へぇ〜、すごい・・・・・。サウスポーなんだね…」

「・・・・・・・・越前もそうじゃなかったか?」

「え、私??」

「いや、弟の方だ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだったっけ・・・」



の抜けた顔に、締まった唇を歪める手塚。

だいたい、その前あたりから、節には驚き笑いを繰り返していたのだ。



「ところで会長。なんでこんな所で打ってるんス?もしかして、秘密特訓かなにか?」

「・・・・・・・・いや、間違ってはいないが。部活に出ると、いろいろうるさいやつが多いだろう?だからだ」

「あ、今、本音でたでしょう?」

「・・・・・・・・・・・・・多少はいいだろう・・・・・」



苦笑いしたは、なんとなく手塚に興味をもったのは違いなかった。

ギャグセンスもそこそこ。

しかも、こんな調子の自分になかなかついてくる(笑笑)

強豪だと感じた。(さんもね・・・・)



「さて、そろそろ帰るか」

「え?あ、邪魔しちゃいました・・よね?;すいません、会長」

「いや、別にいいが、その・・・だな・・・・・・」

「へ?」

「会長っていうのと、その喋り方はどうにかならないのか?」



やはり気に掛けていたのか、片方の眉を上げ、手塚は言った。

先程からの変な敬語と、生徒会でちょっと関わった頃から続く「会長」の名。

少しその称号が邪魔と感じたのは、がそう言うからであった。



「え、じゃあ・・・・・・部長!」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・嫌・・・・ですよね」

「手塚でいい」

「じゃあ、塚さんで。(えぇ)」

「別に・・・・・それでもいい」



いいのか、手塚。



にバレたら、体育館倉庫に送り込まれそうな会話を終えたは、暗くなった空元を一人で帰せな

いという事務的な事を言われ、暫し手塚の帰り支度を待ち、帰道についた。

帰宅部の人間も、部活後の人間も居ない丁度よい時間。

一般ピープルから見ればアベックにしか見えないが、内心警戒満々なにとっては恐れ多い事実だっ

た。

怪しい少女を気にも止めず、手塚は家に着くまでを送った。

越前家の、大きな寺前。



「あ、私の家ここです。わざわざありがとうございました」

「別に構わない。ここからなら、俺の家までの近道にもなるしな」

「そうですか。それじゃあっ」

「あぁ・・・・・・。なぁ、越前」

「はい?」

と呼んでもいいか?」

「ぶはぁっ!!?マジっすか?」

「・・・・・越前が2人いるとややこしくてな。お前が嫌だと言うのなら・・・・・・・・・・」

「・・・・・・いいです、別に。あ!でも、気をつけて下さいね・・・・・・」

「?」

「いや、何でも・・・・・・・」




意味深な事を呟いたが家に収まると、我慢していた笑いをすべて吐き出すように、手塚は一人で小

さく笑った。

”と呼ぶ事が本当に“越前”と被るからだけなのか。

それを知っているのは、自宅に向かう手塚の影であった。



















初、手塚さま。

一般ピープルて・・・・・アベックて・・・・・・・・。恥ww
いや、死語は今や流行りですよ!!
・・・・・・・・・・・いっぱいいっぱいです。(芸人魂)


2003/6/6