キミとボクと























「今日は跡部直々に出向いてくれたで

「よぉ」



少し笑ったように見えた少女は、体を動かさずに2人を見つめた。

部活などで忙しい時は来ることは出来ないが、ほとんど毎日と言っていい程顔を覗かせてくれる忍足と、

ダルそうでもそれについて来てくれるテニス部の部長。

枯れる頃に変えてくれる花は花瓶に挿され、の隣にそっと置かれた。



「ん。礼なんてええよ、いつもの事やし。それに今日は跡部からや」

「こんな貧素なもんでよかったのかよ」

「あぁ?だいたい、あんさんの趣味は悪いっちゅーねん。なぁ聞いてや。こいつ花屋で何言うたと思う?

薔薇100本やで?」



それが一番、女が喜ぶと言う跡部に、そういうものは女性を口説く時に用いるものであって、今翳すも

のではないと苦笑する。

金持ちのお坊ちゃまに要求するには、この一般常識はちょっと難しいのかもしれない。

が、は2人が持ってきてくれたものなら何でも嬉しいと、風をうつ。



「なぁ、跡部。お前、の事どう思ってたん?」

「こいつの前で聞く事じゃねぇーだろ」

「ええやん。教えてや」

「・・・・・・・・・・・」



の前で言おうやと、真剣な顔で訊く。

気持ちの整理というか、ケリというか。



「誰にも渡さねぇ」

「そか。なら、俺とライバルやな」

「・・・・・・・・」

「俺ら、後悔しとるんやろか。もっと早くにに伝えとったら・・・・・・」

「どっちにしろ、お前に勝ち目はねぇーよ」

「あ!それは聞き捨てならんなぁ?」



そんな会話に、少し困ったように顔を歪める。

どっちも選べないよ・・・・なんて。



が聞いとったら、きっと笑って誤魔化すんやろな」

「それが優しさだとでも思ってるんだろ」

「お、言うなぁ」

「それにこいつは、もう誰の手にも落ちねぇ」

「本当やな。跡部にも、俺にも転ばずに。どこ行ってしもたん?・・・・・・」



目に滲む涙と、手に篭る震えが忍足の体から力を浮かせる。

こんな時、誰が『大丈夫だよ』なんて軽率な言葉を掛けられるというのだろう。

僕たちは無力で。

そして小さい生き物だった。



「おら、の前でんな格好してんじゃねぇーよ。もう行くぞ」

「せやな・・・・・・ありがとう。・・・・・じゃあ、また来るで。」



勝手に話をし、勝手に去って行く。

そんな2人の背にそっと笑いかけたは、添えられた花や線香に葉を落とした。

この先を、もっと3人で歩く事が出来たなら。

本当に楽しい生活が待っていたのだろう。




僕たちは無力で

こんなに小さな生き物だった





























短いし暗い。
スゴイ飢えてるし、スゴイ荒んでるし。

なんかテニス暗って現実味があって嫌ですけど、こういうのあってもいいかな
と思って書きました。


こういうネタ。
これ以上濃いやつは精神的に重いので、裏行きです!
逝ってよし!(T△T;